彼女は実は男で溺愛で

 彼は胸元にキスをしたようで、そのあと熱くチリチリとした刺激に「んっ」と声を漏らす。
 彼から香るシャンプーの匂いも相まって、ドキドキと心臓が騒がしい。

 体を離した彼が「史ちゃんが寝ぼけていなければ、襲ってしまいそうだよ」と、危うい発言をしたため、そのまま寝ぼけたフリをしていたら、いつの間にか眠っていた。

 鏡に映る、それをマジマジと見つめる。

「これってキスマークって、やつじゃ」

 女子校で男性と関わる機会は少なかったけれど、恋人がいる友達の話を聞きかじっていたため、ところどころの知識は豊富なのだ。

「史ちゃん? 平気?」

 彼に声をかけられ、慌ててボタンをかけ直す。

「はいっ。今、行きます!」

 しっかり上までボタンを閉め、寝室を出た。
< 202 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop