彼女は実は男で溺愛で

 定時になると、隣の村岡さんを心配しつつ先に上がらせてもらった。

 村岡さんも心配だけれど、柚羽が心配だ。
 それなのに、柚羽のプライベートの連絡先を知らない事実に気付く。

 いつもいつも悠里さんに会いたくて、今は染谷さんに会いたくて。
 柚羽とは、お昼休憩だけ。

 私自身、仲良くなろという熱意が、足りていなかったのかもしれない。

 村岡さんの気持ちにも揺れ、柚羽の気持ちにも揺れ、私はフラフラしている。

 経理課に寄ってから、里穂さんのところに行こう。
 自分のすべき行動を頭の中で整理して、強く頷いた。
< 213 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop