彼女は実は男で溺愛で

「俺は、彼女に相応しくないんじゃないかって」

「ええ!」

 私の怪訝な声はつい大きくなってしまって、慌てて口元を押さえる。

「ごめんなさい。つい」

「いや、いいんだ。今日、このあと食事にでもいけないかな。えっと、染谷も誘って」

 どういう展開になっているのだろうと、目を白黒させているうちに、佐竹さんは染谷さんに連絡してしまう。

「ああ、うん。じゃ7時頃に」

 話はまとまってしまったようで、結果だけ告げられる。

「染谷が店を押さえてくれるらしいから、あいつから連絡あると思う。またあとで、よろしく頼むよ」

 一方的に決められ、彼は戻っていった。

 穏やかで、優しくて?
 思いの外、佐竹さんは強引な性格みたいだ。
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