彼女は実は男で溺愛で

 けれど、「見て」と言われ、背後に鏡があったことを思い出し、自身の姿を鏡に映す。

 自分の下着姿を見る機会は、なかなかないけれど、自分ではないみたいだ。
 くびれと胸の膨らみと谷間がある。

「すごいです! 里穂さん!」

「ね、綺麗は作れるでしょう」

 悠里さんにも言われた言葉。
『綺麗は作れる』

 本当だ。
 少なくとも、数十分前の私よりも今の私の方が綺麗だ。

「服を着て、悠里にも見せましょう。あ、それとも、このまま見せてみる?」

「それは……」

「お願いだから、服を着て出てきて」

 私が断る前に、試着室の外にいる悠里さんから声がかけられた。

 私だって、さすがに下着姿を見てもらうのは恥ずかしい。
 そそくさと服を着て、試着室の扉を開ける里穂さんに続いた。
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