彼女は実は男で溺愛で

「悠里さん、キス魔」

「嫌だった?」

「嫌、ではないです。恥ずかしいですけれど」

「そう」

 甘い顔をさせた彼は私を覗き込み、ペロリと唇を舐めた。
 思わず「ひゃっ」と肩を竦めると、ふふっと彼は笑う。

「可愛くて、本当、夕食は諦めたくなるよ」

「だ、ダメですよ」

「うん」

 並んで料理をして、目が合うとキスをする。
 そうして出来上がった料理は、パスタにサラダ、サーモンのムニエルに付け合わせまで。

 彼はキスをしつつも手際もよくて、盛り付けはお店の料理みたいだ。
< 227 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop