彼女は実は男で溺愛で

 試着室の外では、困ったような顔で待っていた悠里さんが私の姿を見て、目を丸くして、それから目を細めて言った。

「すごく綺麗になったわ。体のラインもそうだけれど、自然に背筋が伸びていて気持ちがいい」

 下着の締め付けで姿勢が正しくなるのもあるけれど、スタイルがよくなって、自然と胸を張っていたくなる。

 下着姿の時も感動したけれど、服を着ても大きく違う。
 求めていた、女性らしいメリハリがある。

「これを毎日身に付けて、お肉にここがお前の本来の居場所だよって教え込ませられれば、脱いでもそのままの体型でいられるね」

「と、いうことは、今は……」

「脱ぐとすぐに、とは言わないけれど、ほとんど元通り」

 あの魔法の手がなければ、この体型になれる気がしない。

 一瞬だけいい夢を見させてもらえたのだと、半ば諦めかけていると、里穂さんの喝が入る。
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