彼女は実は男で溺愛で
ひとつと別物
出社すると染谷さんは本格的な連休に入る前のショップの手伝いに向かうため、会社にはいない。
この件は前から聞いていて、私も手伝いないかと願い出てはいた。
けれど所属が総務課のため手続き上難しく、本来の総務での業務をする運びとなった。
総務内の紙の補充や、他部署への備品の手配などを行う。
一区切りがついたところで、伸びをしていると村岡さんに話しかけられた。
「総務の仕事は退屈?」
「いえ。そういうわけでは」
みんなが気持ちよく仕事をする上で、重要な仕事だ。
総務の仕事にだって、やりがいは感じる。
ただ、これは確実に私の問題だ。
染谷さんの下で働く、楽しさを知ってしまった。
新しい仕事にもチャレンジさせてくれ、期待もしてくれる。
もちろんこれからは、期日を守るプレッシャーも出てくると思う。
だからこその、やり遂げた達成感がある。