彼女は実は男で溺愛で
「もしかして、諦めそうになっていない? 見よう見まねで自分でボディメイクするの。悠里の連れて来た子だから、私が空いてる時間なら、毎日だってボディメイクの手直しはするわ」
ありがたい申し出に、気持ちは上向いていく。
「そのためには、洗い替えを考えても2セットは必要よ」
肝心なことが抜け落ちていた。
毎日、身に付けるのだ。
24時間ずっと下着を着ておかなければ、堕落して解散してしまったお肉を集合させるのはとうてい無理だろう。
借りるのではなく、買わなければ。
その程度の礼儀は弁えている。
けれど、素早く次々に頭の中で、問題提議が行われる。
社会人になるに従い、一人暮らしを始めた。
お金に余裕など、どこにもない。
これは新手の詐欺だと思えるほど、どうにか買って帰りたい気持ちにはなっている。
けれど、無い袖は振れない。
「すみません。せっかくここまでしていただいたのに」
変われるかもしれない。
そう思えた心は萎んでいく。