彼女は実は男で溺愛で
絡まる想い
起きると日が高く、寝室に眩しい光が差している。
まだ眠る彼の寝顔を眺め、幸せを感じて彼の腕に顔を擦り付けた。
「くすぐったいよ」
彼の腕に捕まって、引き寄せられる。
「いいね。まどろんで起きても、まだゆっくりできるこの感じ」
「はい。幸せって、こういうのかなあって思います」
顔を綻ばせると、彼もはにかんで言う。
「史ちゃんの、こういうところ好きだなあ」
「わ、私だって」
「どんなところ?」
「悠里さんの寝顔、とか?」
突然で、口をついて出たのは、褒め言葉でもなんでもなかった。
吹き出した悠里さんは、クククッと笑っている。
「やっ、だってすごく穏やかな寝顔で」
「それは史ちゃんと寝られているから」