彼女は実は男で溺愛で

「それで、相談って? とりあえず私は下着を買い替えてほしいわ」

「え」

「成長期だからね。こっちのブラ、きついでしょ」

「でも、こっちに慣れてしまって、普通のブラは心許なくて」

 いつもロングブラをしているせいか、その方がガッチリ守られている感じがして。

「だから新しいのを買わなきゃ。まあ、考えておいて。それで、史乃ちゃんの相談って?」

 私はどうしようかと悩みながら、気になっていた内容を聞いてみた。

「あの、悠里さんと、その、最初はどっちの悠里さんと、お知り合いになったんですか?」

 私の質問にしばらく、ポカンとしてから、里穂さんは笑った。

「ああ、悠里のね。そうよね。普通、驚くよね」

 そっか。
 里穂さんにとっては、驚きもしなかったんだ。

 器の違いのようなものを感じて、聞かなければよかったと後悔が押し寄せる。

 反して、里穂さんはあっけらかんと続けた。

「ボディメイクをしているとね。体に染み付いた特技のようなものよ。女の格好していたって、ひと目で男だって分かったもの」

「そう、だったんですか」

 それで。そっか。
 なんだか気持ちが軽くなっていると、里穂さんは思わぬ事実を話し出す。
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