彼女は実は男で溺愛で

「迫っても、男として私には反応してくれないんだもの。ショックもショックよ」

「え」

「ヤダ。勘違いしないで。今は割り切って、なんでも言い合える友達だよ」

 里穂さんの声が、遠くに聞こえる気がした。

「ほら。悠里、呼んでおいたから。下着をどうするのか、相談したら?」

「え。でも。次は自分で」

「買ってくれないって言われたら、そうすればいいじゃない。相談してみたら?」

 今は下着なんて考えられない。
 早くこの場から立ち去りたくて、仕方がなかった。

「悪い。遅くなって」

 悠里さんが顔を出すと、里穂さんは嬉しそうな声を上げる。

「史乃ちゃんとセットだと、男側の悠里が見れてお得だね〜」

 男の悠里さんに、里穂さんも会いたいんだ。
 黒い感情が渦を巻いて、自分自身が嫌になる。

 大好きな2人なのに。
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