彼女は実は男で溺愛で

「ごめんなさい。変態ですよね。触ったりして」

 軽率な行動を謝ると、再び手をいざなわれ動揺で声が上擦った。

「ゆ、悠里さん」

「こうなる俺が嫌なのかと思って、自粛していたのに」

 添えている手は、離してくれない。

「悠里さんの、嫌な、記憶がっ」

「史ちゃんとなら、蘇らないみたいだ」

 そう言われても、どう答えていいのか分からない。

「ハハ。俺の方が変態だね。史ちゃんが恥ずかしがっている姿を見て、欲情している」

「なっ」

「嫌っていた龍臣と、対して変わらないね。俺」

 うなだれる彼をギュッと抱きしめる。

「嬉しいです」

「フッ。嬉しいの?」

「あ、いえ、その。それは悠里さんだから。悠里さんが、私だけにそうなってくれるのなら、嬉しいです」

 思わぬ願望が口を出て、顔を赤らめる。

「ね、体つらい?」

「え」

「初めては史ちゃんとがいい」

 言葉にされると、ものすごく恥ずかしくて彼の肩に顔を埋める。
 そして、小さな声で思いを伝えた。

「悠里さんの初めてを、私にください」

 フッと笑った悠里さんは、優しく私にキスをした。
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