彼女は実は男で溺愛で

 普段は販売促進部の人からデータ化された名簿をもらうらしいのだが、今回は手書きの名簿が届けられ、打ち込みをお願いされた。

 それを順に入力していく。
 集中できるのは、ありがたかった。

 気づけばすぐに定時になり、残りは明日で構わないからと帰らせてもらえた。

 今日もいそいそと隣のビルに向かう。

 定時後に悠里さんと会えるのは、密かな楽しみになっていた。

 悠里さんと会える嬉しさと、自分の体型が日々変わっていく喜びも相まって、私は定時の後の時間だけを楽しみに会社に来ているようなものだった。
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