彼女は実は男で溺愛で

 存分に愛し合った後、肌を擦り寄せあって寝転んでいると、彼は思い返すように言った。

「俺、たぶん上手くやらなきゃって、プレッシャーも感じていたのだと思う」

 頬に軽くキスをして、彼は続けた。

「俺の方が年上だし、史ちゃん初めてだったし」

 思わぬ告げられる、彼の思い。

「それは、お互い様だったのでは」

 お互いに初めてで、でも、確かに悠里さんから辿々しさを感じなくて、本当に未経験? と、思ったりもした。

「もちろん、龍臣みたいになりたくないって、どこか綺麗事を思い浮かべていて、そりゃ拗らせているって言われるよ」

 穏やかで優しいだけじゃない、彼の激しい一面もあって。

「でも、私は悠里さんの違った一面を知れて嬉しかったです」

「うん。俺も、史ちゃんが乱れる姿に興奮した」

「悠里さんっ!」

「ハハ。そういうのも見せられるから、余計に愛おしくなるって知ったし」

 悠里は私の頬を撫で、流れている髪を耳にかけてくれた。
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