彼女は実は男で溺愛で

 悠里さんをアパートに招き入れる。
 ワンルームの部屋は、悠里さんのアパートよりも窮屈だった。

 ベッドの脇にローテーブルがあるだけで、彼がいくら線が細いと言っても、そこに座るには狭い。

「どうしましょう。うちのアパートって、狭かったんですね」

 背の高い彼がいると、圧迫感がある。

「俺、そこまで存在感があるほうじゃないよ」

「そうですか? 私よりずっと大きいです」

「背は175センチ。体重は、秘密」

「えっ。なに、その女子みたいな発言」

 私のからかいの言葉に、悠里さんはむくれている。

 私は彼の肩に手を置いて、背伸びをすると彼の頬にキスをした。
 彼の拗ねたような姿が、なんだか可愛く思えたから、つい。

「な、んのタイミング?」

 声を上擦らせる彼に、ふふっと笑う。

「好き、だなあって」

 目を見開いて、腕で顔を隠す彼の耳は赤くなる。

「どうしたの。急に」
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