彼女は実は男で溺愛で

「いえ。別に。体重、私よりはありますよね」

「どうだろう」

 視線を逸らす彼に、ムッとして脱衣所のヘルスメーターを持ってくる。

「乗ってみてください」

「なっ。なんで、公開処刑。なんだか、史ちゃん自分家だからか、強気だね」

 ブツブツ言う悠里さんは、乗ろうとしない。

「どうして教えてくれないんですか」

「逆に、なんでこだわるのさ」

「サラッと、言ってくれないからですよ」

 悠里さんは私に覆い被さるように、腕を回して体重をかける。

「ひゃっ。重っ」

「ほら、感じて」

「えっ。無理!」

 笑っていると、悠里さんは耳元でボソッと呟いた。

「もう少し鍛えるから、待って」

「え、今のままで、十分では」

「史ちゃんに、軟弱って思われたくない」

 うわっ。
 なんていうか、これ反則なんじゃ。

「悠里さん、大好き、ですよ」

「えっ、うん。本当、どんなタイミング?」

 苦笑する悠里さんが、回していた腕を緩めキスをする。
< 378 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop