彼女は実は男で溺愛で

 彼のアパートまで手を繋ぎ、寄り添って歩く。

「好きだよ。史ちゃん」

「ふふ。今度は悠里さんがどうしたんですか」

「いや。言いたくなっただけ」

 彼のアパートに着いて、一緒に並んで料理を作る。
 たわいもない話をしながら、ご飯を食べて、順にお風呂にも入る。

 何気ない生活を和やかに、彼となら過ごしていける。
 そう思える時間だった。

 リビングでぼんやりしていると、お風呂から出て来た彼が私の隣に座る。

「どうしたの。寝ないの」

「うん。悠里さんと一緒にいたくて」

 彼の体に腕を回すと、彼も応えて優しく抱きしめた。

「ベッドでも一緒にいられるよ。寝室に行こう」

 短い距離なのに、手を繋いで寝室まで歩いた。
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