彼女は実は男で溺愛で

 ベッドに腰掛けると、彼は私にキスをして「おやすみ」と言ってまたキスをする。
 そして、ため息を吐いて私を抱き寄せた。

「キスしても、足りない」

 彼の消えそうな声に、胸がギュッとつかまれる。

 熱っぽい眼差しを向け、彼は再び唇を重ねる。

「ごめん。寝かせてあげられない」

 そう言いつつ葛藤しているような彼に、私も本音をこぼす。

「私も悠里さんと」

 全てを言い終える前に、彼はもう一度唇を重ねた。
 ゆっくりと何度も唇を重ねる彼に、甘い吐息が漏れていく。

 彼に触れられるほどに、乱れていく自分に戸惑いながらも、彼に溺れていった。
< 381 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop