彼女は実は男で溺愛で

「どうしたの? まだ寝ているというのなら、歓迎だ。昼夜が逆転するほどに、史ちゃんを愛したいな」

 まだ起き上がらない私の背中に、彼は唇を触れさせ、熱く痕をつけるようなキスをする。

「悠里、さんっ」

「さ、起きよう」

 爽やかに告げる彼に、私は言葉に詰まりながら伝える。

「あの、まだなにも覚悟はできていませんが」

「うん」

 彼は穏やかに頷いて、私の言葉の続きを促す。

「悠里さんの傍にいたいです」

「うん。俺も」

 今後も、戸惑って立ち止まって。
 時には逃げ出しそうになっても。
 穏やかな彼の隣なら、きっと。

 彼は微笑んで言った。

「離さないから覚悟して」

 そして、どちらからともなく顔を近づけ、甘いキスをした。

Fin.
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