甘いのは好きじゃない
◆
バレンタイン当日、昼頃スーパーで可愛く包装されたチョコを買い、それを持って彼の家に行く。
「バレンタイン。どーぞ」
ビニール袋を渡しながら、部屋の中に入る。
「本当に買ってきたのかよ」
「いらないなら返品してくるよ」
「……そうは言ってない」
いつも通り本棚に手を伸ばし、所定の位置に座る。
「なあ。なんでチョコが嫌いなわけ?」
彼はキャスター付きの椅子に座り、私が買ってきたチョコを頬張る。
食べるなら、文句言わなくてもよかったのに。
「甘いのは好きじゃない」
「へー……」
聞いてきたくせに、興味なさそうな返事。
まあ、興味を持たれても会話が広がるわけないけど。
私はベッドサイドの床という定位置につき、漫画を開く。
「ねえ」
「なに?」
彼に呼ばれても、漫画から視線を逸らさない。
すると、彼は隣に座り、私の頭に手を添えた。
そのまま彼のほうを向かせられ、唇が合わさる。
彼がゆっくりと離れていく。
「……甘い」
「チョコ食べたあとだからな」
彼は照れたのか、顔を見せてくれない。
そっと自分の唇を舐める。
ほんのりと、彼が食べたチョコの味がする。
……やっぱり、チョコは嫌いだ。
でも、この甘いキスは嫌いじゃない。
変な緊張感が漂っていたけれど、もう一度、チョコの味を確かめるように、彼とキスをした。
「君と食べるチョコは悪くない、かも」
すると、彼はにやりと笑う。
「素直に俺とキスしたいって言えばいいのに」
甘いのは好きじゃない私。
でも、彼との甘い時間は、いつまでも続くといいな。
バレンタイン当日、昼頃スーパーで可愛く包装されたチョコを買い、それを持って彼の家に行く。
「バレンタイン。どーぞ」
ビニール袋を渡しながら、部屋の中に入る。
「本当に買ってきたのかよ」
「いらないなら返品してくるよ」
「……そうは言ってない」
いつも通り本棚に手を伸ばし、所定の位置に座る。
「なあ。なんでチョコが嫌いなわけ?」
彼はキャスター付きの椅子に座り、私が買ってきたチョコを頬張る。
食べるなら、文句言わなくてもよかったのに。
「甘いのは好きじゃない」
「へー……」
聞いてきたくせに、興味なさそうな返事。
まあ、興味を持たれても会話が広がるわけないけど。
私はベッドサイドの床という定位置につき、漫画を開く。
「ねえ」
「なに?」
彼に呼ばれても、漫画から視線を逸らさない。
すると、彼は隣に座り、私の頭に手を添えた。
そのまま彼のほうを向かせられ、唇が合わさる。
彼がゆっくりと離れていく。
「……甘い」
「チョコ食べたあとだからな」
彼は照れたのか、顔を見せてくれない。
そっと自分の唇を舐める。
ほんのりと、彼が食べたチョコの味がする。
……やっぱり、チョコは嫌いだ。
でも、この甘いキスは嫌いじゃない。
変な緊張感が漂っていたけれど、もう一度、チョコの味を確かめるように、彼とキスをした。
「君と食べるチョコは悪くない、かも」
すると、彼はにやりと笑う。
「素直に俺とキスしたいって言えばいいのに」
甘いのは好きじゃない私。
でも、彼との甘い時間は、いつまでも続くといいな。