リグレット・レター

『エルサ！ルイーザ！これ見て！！』

楽しげな声に、エルサ・ヴェルタネンはハッと目を開ける。目の前には、小柄で黒髪の可愛らしい女の子がいる。その手には一冊の本があった。

『このお菓子、とっても可愛くない？今度一緒に作ろうよ！』

女の子にエルサが見せられたのは、懐かしい故郷のお菓子だった。ラスキアイスプッラというフィンランドに春を告げるお菓子の一つ。エルサはフィンランド出身だ。

『これは、私の国のお菓子ね。もちもちとしたシュークリームの皮のような食感よ』

『へえ〜、そうなんだ！』

無邪気に笑う女の子に、エルサはニコリと微笑む。エルサにとって女の子は妹のような存在だ。甘え上手で優しく、エルサにないものをたくさん持っている。

『ねえ、知ってる？北欧はね白夜と言って日が沈まない明るい夜があるの』

『地理の時間に聞いたことがあるかも。一回でもいいから、見てみたいな〜』

『じゃあ、一緒に白夜を見に行こうよ』