初恋してます。
・第十四章

──2週間後、ある暖かい日の早朝。



担当医から初めて外出の許可が降りた。



早く外に出てみたいけれど、私はまだ車椅子で付添の人が必ず必要な状態だった。



看護士さん達も朝は忙しい時間帯で慌ただしくずっとバタバタしている。



病室のベッドで横になりながらテレビをぼんやりと眺めていると突然のニュース速報が流れた。



『14年程前にひき逃げ事件で逃亡中だった犯人が再び昨年の12月のクリスマスの日に事故をお越したことがきっかけで無事に逮捕。

……天候が雪で道路が渋滞していていた為1時間も遅れが出ていたことにイライラし、勤務時間に遅れることを気にしてスピードを上げていたことを自白。

犯人の職業、警察官。これまで犯人がずっと逃亡できていたのは、同僚が事件を黒塗りにしていたからだった。

つまり、隠蔽。……当時の事故で4歳の幼い女の子の命が奪われ……、今回は……、──』



証拠隠滅、14年も逃亡……、信じられない。



4歳の女の子、まだ幼かったのに………、本当に可哀相。



きっと、まだまだやりたい事が沢山あったんだろうな──。



ひき逃げ犯は間違いなく、地獄に行くよ。



私は怒りが込み上げてきて、ぎゅっと強く拳を握りしめた。



──でも、本当に……捕まって良かった。



あれっ、犯人のこの目、なんだか、……どこかで見たような?



おかしいな私の体、突然寒気がしてきた。



私はまだニュースの先が知りたかったけれど、病室にいつも良く来るその人が「やっ!」と笑顔でやってきた。



と、同じタイミングでテレビがパチッと消えた。

< 100 / 104 >

この作品をシェア

pagetop