初恋してます。
蓮くんの長いまつ毛がパタパタしている、って見とれている場合じゃなかった。



「何、まじまじと俺の顔を見ているわけ?俺の顔に何かついてる──」



「べ、──別に……」



「俺は、お前に言いたいことがある」



「うん」と頷くものの……、ちょっと私の顔がタコみたいになっていませんか……。



ああ、もぉっ逃げる隙すら、蓮くんは私に与えてくれない。



「あの、あんまり、俺の周りをちょろちょろされると周りからあの子誰?彼女?って……、冷やかされるわけだよ」



それは、もし私が彼女だったら超が付くぐらい迷惑だっていうことを言いたいってこと?



「中学校の時も私は同じことをしたのに──」



私は反撃をした。



だって、事実だから。



中学校の時は、私が同じ事をしても蓮くんはにこやかに接してくれた。



「だから、今は連中が違うんだよ……」



「ふーん」



「さっき、お前がやったこと、覚えてる?まじ、でかい恐竜でも突然現れたかと思って、俺驚いたんだからな……」



それは、つい、さっきのことだから覚えてるよ………。



そりゃあ、少しは反省をしています、……ちょっとオーバーに名前を呼びすぎたかなあって。



「で、廊下にいた皆が一斉に俺に振り向いた。俺、大注目の的。つまり、スッーげっ、恥ずかしかったんだ。俺を呼ぶ時は、頼むからもう少し音量を下げてくれないか?」

と、更にぐっと顔を私に近づける蓮くん。



蓮くんの長い前髪が私の鼻先に当たってくすぐったい。



目を潤ませて声を出さないまま、ひたすらうんうんと頷く私。



「わかった?」と目力凄い蓮くん、まだ解放してくれないのと困った表情の私。

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