初恋してます。
「そんな、わけがないよ。………付き合ってないよ。私が、振ったから──」



蓮くんが星空を見上げた。



「なら、良かった。それを聞いて、俺、一安心だ」



「私は、だって、理想が高いからね──」



「ほーう、聞いてみたいなお前の理想って」



「私よりも背がこれぐらーい高くて。格好良くて。凄く優しくて。一緒にいて凄く楽しい人」



側にいた蓮くんが私の顔を見ながら声を出して笑い出した。



そして、蓮くんが自分の顔を指さしながら「それっ、俺じゃねえ?今のは、冗談だけど……」と笑いながら言った。



「………えっ」、一瞬時間が止まったように思った。



そうなのに、本当は──。



「で、お前、好きな人、今いるの?」



「──いる」

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