初恋してます。
「それ、誰?」



「言わない、秘密」



「俺達、幼馴染でずっと昔からよくいる仲なのに、秘密はないだろう?」



「だって、私片思いだから。言わない」



「ふーん。まぁ、別に、俺は彩歌の片思いの相手なんか気にしてねーし」と少し拗ねたふりをする蓮くん。



「あーあ、そうですか」と私も少し捻くれたふりをした。



そうだよ、私の理想の人は蓮くんだよと本音を言える勇気がその時の私にはなかった。



「尚太のことで、私のことを心配してくれていたんだね。なんだか、凄く嬉しい」



私は背の高い蓮くんの顔を見上げた。



「俺達、大切な幼馴染だからな──」



蓮くんがそう言って優しく私に微笑んだ。



──“幼馴染”、それだけかぁ。



「そ、そうだね。幼馴染歴長いもんね、私達」

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