初恋してます。

私が顔を少し上げた瞬間、藤原先生とバチッと目が合った。



今日は良く目が合ってしまう。



えっ、……たった一人だけ？



もう少し、人を一緒に乗せられないの？



藤原先生がさっそくクジを一枚引き、四つ折りにされた白い小さな紙を広げた。



「ロケットに乗ることができるのは……」



──誰なんだろう？



「………」



「石田さん、君だよ──」



藤原先生が私の顔を見た。



はぁっ、私！



えっ、……嘘でしょ、……やめてよ。



嬉しそうな表情を浮かべない私を疑問に思った藤原先生が私の元へやってきて声を静めて「どうしたんだい、嬉しく、ないのかい？」私に尋ねた。



周りから口々に聞こえる声。



「残念ね、自分はクジにはずれちゃった」



「たった一人なんて、絶対に無理だよね……？」



「うんうん。私なら、こっそり連れて行くよ。彼氏、一番大事だし。絶対に離れたくないよ！」



「私は、おばあちゃん。……大好きだから」



「俺は、好きなアイドルかな？」



皆、そうなんだ、……やっぱり一人はいやなんだよね。



私だって、……一人は嫌だよ。



それに、ロケットに乗れなかった人達は皆死んでしまう。



嫌だ、嫌だ、そんなの絶対に嫌だ！