初恋してます。
今、2人きりだから、べつに聞いてもいいかなぁ?



「──蓮くん?」



「んっ?」



「あのね、………。1つ、質問してもいい?」



「いいよ。で、なんだよ?」



「蓮くん、毎年8月の決まった日に……。いつも……、向日葵の花束を……。ああ、んもぉう、やっぱり、いいや。………、ごめん」



蓮くんの私を見る真っ直ぐな瞳をじっと見ていると、私の方が何故かうろたえてしまった。



話したい内容、頭の中で綺麗に整理ができなくなってきて。



本当は聞きたかったんだけれど、なんだか最後までうまく言えなくなって、結局聞けなかった。



「うん──」と蓮くんが静かに頷いた。



目のやり場に困り時計を見ると午後5時を指していた。



30分後、優衣お姉ちゃんが息を切らせて帰って来た。

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