初恋してます。
お姉ちゃんが決めたことは、嫌われても構わないから自分から別れ話を持ち出して、

松下先生が心置きなくフランスの転勤へ行き易くすることだったのだ。



これがお姉ちゃんの最大の愛。



卒業式の日、何も知らなかった当時の私はお姉ちゃんが自分の部屋で暫く声を上げて泣いていたのは、


ただ単に高校を卒業をしたことが寂しくて泣いているのだとばかり私は思っていた。



あの時、それだけじゃなくて、酷く憔悴をしていたのは松下先生との別れ話があったから激しく泣いていたんだよね。



あの頃を振り返ると、暫くの間お姉ちゃんは無気力でもうこの世が終わったような感覚だったと。



周りの全ての景色が灰色に見えて。



別れ話をした後、凄く自分を悔やんで、後悔をしてばかりで。



冷静に考えれば、なんて私はバカなことをしたんだろうって……。



時間よ、巻き戻って欲しいと毎日のように願い続け。



人生で初めて好きなった人を簡単に忘れられるはずもなく。



フランスへ行った松下先生とはずっと音信不通で、もうその間怖くてたまらなかったんだと言っていた。



お姉ちゃんが初恋の相手を私にずっと言えずに秘密にしていた訳が、ようやく今になってわかったような気がした。

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