初恋してます。
長い間、それが誰なのかわからずにモヤモヤとしていた。



それから、あれは確か蓮くんの一家が揃って我が家に引っ越しの挨拶をしに来た日の時のことだった。



私は蓮くんのお母さんと「はじめまして」と握手をして挨拶を交わしたその時、一瞬電気が走るように私の背中がゾクッとするものを感じた。



それはまるで私の五感が強烈に目を冷ましたような感覚だった。



何だろう、今までに感じたことがない喜びが体中を全速力で駆け巡るこの感じ。



私はこの手の中から何か懐かしいあの温もりを感じると同時にあの懐かしい声、そしてあの柔らかいジャスミンの花のような良い香りを感じ思い出したんだ。



そうだ、ずっと私が探していたもう一人のお母さんは蓮くんのお母さんに絶対に違いないとその時確信をした。



生まれてくる前の頃の私の薄い記憶が一気にフラッシュバックをして目の前の蓮くんのお母さんの姿とピタリと重ねる。



まさか、こんな事が──。



湧き上がる喜びの感情の中で静かに思った。



信じられないような軌跡、本当にあるんだ。



また、私達は違う形で巡り合えたんだね。



でも自分だけの秘密にしよう、そう心に決めた。



その時の私はまだ蓮くんの一家と軽くただ挨拶を交わしただけだった。



そう、蓮くんと出会う前から良くちょくちょく現れる私の不思議な記憶。



今、全てが綺麗に私の中で繋がった。

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