初恋してます。
こんなこと、誰にも言えるわけがなく、今も誰にも言っていない。



もしかしたら、私は生前あの蓮くんのお母さんのお腹の中で亡くなった二卵性双生児の1人の方だったのではないだろうかと思う事がある。



こんな話をしても、きっと誰も信じてくれるはずがないような気がするけれど。



私が小さい頃から好きな花の香りはジャスミンの花の香、……そのこともまだ誰にも言っていない。



──ジャスミンの香り、それは蓮くんのお母さんが昔からずっと今も愛用して使っているシャンプーの香りだった。




そう、皆で浴衣を着て花火を見に出かけた時の蓮くんの言葉を思い出した。



『人にはなかなか話せないことを皆抱えながらきっと生きているんだよ。きっかけがなかったら、……俺だってそう。皆話さないだけ』



そう、私も一緒だよ。



それから、まだ私の秘密はもう一つある。



私は今のお母さんのお腹から生まれてくる瞬間、それはまるでショートフィルムのように自分の人生の最期を垣間見てしまったことだ。



もしも、変えられるのならば、こっちから変えてしまおう。



その時が来る前に、私の最期を──。



そう、企んでいる。



この先、自分がどんな最期を迎えるのかを随分前から、私は実は知っているから………。

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