初恋してます。
・第十一章
──月日は流れ、その年の12月、クリスマスの日。
空から白い雪がひっきりなしに降っている。
手を広げると、まるで手の平に白い小さな天使が次々と舞い降りるよう。
ホワイトクリスマス。
あちらこちらで、綺麗なイルミネーションが街を彩っている。
私は、今までクリスマスはいつも家族と過ごすのが定番だった。
今年はお姉ちゃんは冬休みを利用して松下先生に会いにフランスへ。
また、私のお母さんとお父さんは結婚20年目の結婚記念日の節目に相応しい高級感溢れる高層階へディナーを楽しみにと足早に出かけていった。
家で一人になるはずのクリスマス、私は一人ぼっちにはならなかった。
──なぜなら、『前に俺が言った“いつか”の約束、まだ覚えてる?クリスマスの日に“いつか”の約束を果たしたいから、
この日だけは絶対に空けておくよに』と急に蓮くんから連絡が私に入ったのは約1か月ほど前のことだった。
“いつか”の約束、覚えてる。
4月1日のエイプリルフールの日、私と蓮くんはこんなやり取りをした。
『いつか、もっと良いものをご馳走できるように俺頑張るよ!』
『い・つ・か・ね……。いつだろうね。“いつか”、早くこないかなぁ?』
蓮くんとクリスマス、人生で初めてのことで、私は飛び上がるぐらい嬉しくてまさか夢なんじゃないだろうかと何度も疑った。
頬を強くつねるけれど痛い、これは夢じゃない。
今日は蓮くんと合う為に私はとびっきりおめかしをしてきた。