初恋してます。
──私は、きっともうすぐ死ぬんだ。



嫌だ、どうして……。



突然、もう一度だけ蓮くんの大きな声で私の名前を叫ぶ声が耳元で聞こえた。



「──彩歌!」



楽しい思い出がまた一つ増えるはずだったクリスマスが、こんな惨劇になるなんて。



──いや、私は変えるはずだった。
変えられると思っていた。



……そう、思っていた。



待ち合わせの時間、私の方からお願いをして1時間だけ遅くしてもらったの、やっぱり意味がなかったか──。



せっかく、自分の人生の最期、変えられると思ったのに……。



やっぱり、この冷たいコンクリートの上だったんだね。



私がお母さんのお腹から生まれてくる瞬間に見た自分の最期を迎える惨劇は、

この年のクリスマスの日の午後18時30分、私はその場で即死だった……、あと雪だけは想定外だったけれど。



完全に午後18時30分のその時間さえ余裕で過ぎてしまえれば大丈夫だと思っていたのに。


いったい、どうして……。

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