初恋してます。
ある日、目を覚ますと枕元に私の日記が置いてあった。



誰が持ってきたんだろうか……、きっと私の家族だろうか。



柄がなくてシンプルなピンク色の表紙の日記。



なんだか、この日記の手触り、覚えているような感覚があった。



──はっ!、……私の日記だ。



日付を自分で記入するタイプの日記。



私はどうやら日記を真面目にコツコツと書く人間だったらしい。



何度も何度も日記の最初のページから途中のページまで読み直した。



それから時間が経ち、私が書いていた日記と周りの状況と照らし合わせながらだけれど、少しずつ思い出せる人が増えてきた。



お母さん、お父さん、お姉ちゃん。



病室へたまにお母さんが握って持ってきてくれるおにぎりが凄く美味しくて、

この間私は涙を流しながらおにぎりを3個も完食した。



思い出した、このおにぎりの温かさ、形、味。



確か……、私はこのおにぎりを幼稚園の頃に良く持っていって食べていたような気がした。



塩分が控えめで優しい塩味が効いていて、おにぎりの中身の具はシンプルに鮭、こんぶ、梅。



そして、病室の空気が乾燥しているからと慌てて最新型の加湿器を持ってきてくれたお父さん。



やっぱり、この私の日記を持ってきてくれたのは私のお姉ちゃんだった。



お姉ちゃんは私のことなら本当に何でも良く分かってくれている。

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