Get over it.
春、夏、秋、そして冬・・。

私がこの地に来てから数か月が経った。

そして今日、私は、織田 玲から大神 玲(オオガミ アキラ)になる。


この日までの生活は、一言では言い表せない程ハードなものだった。

織田玲となった日から、礼儀作法、習い事の他、組員の人達と一緒に喧嘩も
覚えた。その辺の才能はあったのか、今では幹部の人達と互角に手合わせ
出来るまでになっていた。

高校は、龍生、兄の宗志、数馬と一緒の私立の高校に編入した。

勿論、お互いに素顔のままだ。

学校は、数馬といつも一緒にいるので妬みの視線は多いが、宗志の妹という
こともあり陰でコソコソ言う声はあっても、誰も表立っては言うものもいなく、
平穏に過ごしている。



この地に戻ってからの龍生は私を驚かせてばかりだった。

ボサボサ頭の地味男の正体は、目鼻立ちの整ったハーフのように彫の深い顔
キリっとした眉からは意志の強さが感じられ、長い睫毛にパッチリとした二重
漆黒の鋭い瞳は、全てのものを見透かすような力を感じる。

存在の薄い地味男は何処へやら、その場にいるだけで誰をも黙らす程のオーラ
を纏って存在していた。

『帝王』

それが、この地での龍生の呼び名だった。



私は、帝王の隣に並ぶ努力を惜しまなかった。



12月3日、今日、龍生は18歳になる。

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