Get over it.
バタン!!

部屋の扉が荒々しく開けられると、肩で息をする類

「・・・俺、俺どうしよう・・・。」

「おい、類どうしたんだよ」

「俺達、間違ってたんだ・・・」

部屋に入ってきた途端、頭を抱えて吐き捨てるように話す類の姿に、俺と樹は
顔を見合わせる。

「俺さ、ここに来る途中で美乃里ちゃんを見かけたんだ。
 で、声を掛けようと思ったら美乃里ちゃんの横に車が止まって・・・。」

類は俺の顔を見上げたまま、言う事を躊躇する。

「類、見たままを言ってくれ、なぁ・・・。」

「車から男が美乃里ちゃんに声を掛けて・・・そしたら、美乃里ちゃんが
 笑顔で話して、男の車に乗っていなくなった。
 その男・・・美乃里ちゃんを攫うのを玲ちゃんに頼まれたって言ってた
 あの動画の男だった・・・。
 おかしいよなぁ・・・、なんで、自分を攫った奴と仲良さそうなんだよ。」

類は項垂れたまま、ソファーに力なく座った。

類の話に俺は頭をガツンと殴られたような衝撃のまま、唖然としてしまった。


「おい・・響、・・響!」

どれぐらいボーとしていたのだろう、多分1,2分だったのかもしれないが
俺には長い時間が過ぎたように感じていた。

俺を正気に戻したのは樹だった。

「皆を呼ぶからな」

その言葉の後、15分程でいつものメンバーが部屋に揃った。

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