Get over it.
海の匂いがする・・・ここは、港にある倉庫だろう。

咄嗟に息を止めたので、あまり薬を吸い込まなかったつもりだが
それでも、少し眠っていたようだ。

ボーっとする頭を少しずつ覚醒させていきながら、周囲の音に耳を
すました。

今、この場には私以外いないようだ。

少しずつ薄く目を開けていく。

コンクリートの床に手足を縛られ寝かせられている自分の姿に
軽く「チッ」っと舌打ちが出てしまう。

龍生と一緒にいるようになり、私にも龍生の癖がうつったようだ。

暫くすると、何人もの足音と話し声が近づいてくるのが分かった。

ガチャ

古びたドアが開くと、女が3人に男が5人部屋に入ってきた。

すると、リーダー格の女が口を開く。

「お目覚めのようね、気分はいかが?」

「こんな事されて、気分がいいはずないでしょ。」

「そう、それは残念だわ。
 久しぶりの再会がこんな形で悪いわね。」

「私は二度と会いたくなかったわよ・・・美乃里。」

そう、今回の主犯はあの美乃里だった。

昨日の京さんから聞かされた内容はこうだ。

きっかけは、愛美の龍生への恋。
まあ、肩書や顔に惹かれただけだろうが・・・。
そこに、美乃里が絡んできた。
美乃里は私がいなくなってからも姫としてガーディアンにいたらしいが
私を追い出した一件が、自作自演とメンバーにバレてしまい春日井組の
ソープに沈められていたが、半年程前に逃げ出したらしい。
それを、荒巻組の若頭に拾われた。
そのまま大人しくしていればいいのに、いつしかガーディアンを追い出
されたのは私の所為だと思うようになったらしい。
そして、私を調べるうちに愛美のことや大神組のことに辿り着き、今回
のことを思いついたらしい。
ほんと、逆恨みにもほどがある・・・。


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