Get over it.
龍生の胸に顔を埋め、幸せに浸っていると美乃里の怒鳴る声

「何なのよ!あんた達許さない!」

そう言って部屋から出ようとするところを、すぐさま宗志に掴まる。

「ちょっと離しなさいよ!
 私を誰だと思っているの!荒巻組若頭の女よ!
 あんた何かが触っていい女じゃないのよ!」

「あんた自分が誰に喧嘩を売ったのか分かってる?」

いつもより低い声で美乃里に問いかける宗志。

「あんたが攫った玲は、日本最大組織竜神会トップ大神組の若姐だぞ。
 お前みたいな女とは天と地ほどの差があるんだよ。
 ついでに言っておくと、あんたが言う荒巻組はさっき潰した。
 あんたの男の若頭は、あの世だ。」

天上を指差し、不敵に口角を上げる。

「そして、あんたとそこの2人の女は二度とお天道様は拝めない。
 ご愁傷様、まあ、自業自得だけどな。」

宗志の言葉に喚きながらも組員に引きずられていく美乃里、愛美、母親

引くずられる女達を可哀想だとも思わない私は冷たい女なのかもしれない。

そんなことを思いながら自嘲的な笑みを浮かべると、頭の上に龍生の
暖かな大きな手が触れる。

龍生に目をやると、これで良いんだと言っている気がした。

その姿を見ながらやっと終わったと目を伏せた。






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