Get over it.
一瞬の沈黙の後、俺の後ろに控えていた京が経緯を話はじめた。

「家の若頭と若姐さんが結婚したのは約3年前になります。
 それ以前二人は同じ高校の先輩後輩として過ごしておりました。
 今回、若姐さんを攫う計画を企て実行したのは、その時同じ学校
 で、後輩としていた女と若姐さんの義妹と母親です。
 理由は逆恨みと妬み、嫉妬といったところでしょうか。
 今、組の地下にその実行犯の女を捉えています。
 春日井組の若頭と側近の方にも関係のある方なので、一緒に地下に
 来て確認していただきたいと思います。
 宜しいでしょうか?」

春日井組の3人は、黙って頷く。

そして、俺達は組の地下室へと歩みを進めた。



薄暗い階段をおりていくと、少し淀んだ空気に交じって錆びた鉄のような
匂いが鼻につく。

鉄格子の小窓がついた思い扉を開くと、コンクリートの打ちっぱなしの
空間が広がる。

その空間に椅子に座らせられ手足を固定された女がいた。

女は俺達の姿を見て甲高い声で怒鳴り散らす。

「早くここから出しなさいよ!私が何をしたっていうのよ!
 あの女さえいなかったら、私はこんな事にならなかったのに!
 畜生!!」

その女の声と姿に春日井組の3人が目を見開くのが分かった。

「・・・まさか、美乃里なのか・・・。」

「美乃里は組の店で監視されていたんじゃないのか?」

「どういう事だ・・・。」


3人共、ここにこの馬鹿女がいることに驚きを隠せずにいた。



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