雪の降る日
無我夢中で自宅に駆け込んでから、玄関でへたりこんだ。

「……うう、最悪だ……」

半泣きの独り言に答えてくれる人はいない。

やけになって、半分残ったおしるこを飲みほしかけたが、思いとどまった。

あの人がせっかくくれたのだ。大事に飲む。

もう冷えていたが、春花はゆっくり飲み込んだ。

空になった缶を洗い、逆さまにして置いておく。

あとで、両親や弟に見つかる前に、部屋に持っていく。

そして今度はキッチンでへたりこんだ。
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