雪の降る日
冬休みが明けてから数日経った日だった。

教室に忘れ物をして、取りに帰ったとき。

『え? 前島春花? って誰だっけ。あーあの地味な! いやないなー話してても楽しくないしー』

密かに……淡く、好意を抱いていた男子の台詞だった。

春花の心は凍った。反射的に逃げていた。

雪が降っていた。

どこをどう通ったのかわからないまま、春花は神社に着き、賽銭箱の隣でうずくまって、ぽろぽろと涙をこぼした。

誰もいないと思っていた。

『大丈夫!?』

影が差したかと思うと、焦った声が聞こえて、春花はびっくりした。

それがあの人だった。
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