雪の降る日
弱っていたからだろうが、春花は直面した出来事を全て話してしまった。

彼は、とりとめがなくて、筋道もあやふやな話を、最後まで聞いてくれて、それで……春花の頭を撫でた。

春花は号泣してしまって、雪の中、神社で二人、寄り添っていた。

泣き止んでから、春花は訊いたのだ。

『……人がいないと思ってたのに、こんなところで、なにしてたんですか?』

『あー……いや? 俺は……雪が好きなんだよ。雪を眺めてただけ』

『じゃ……あ、雪の日なら、ここに来たら、会えますか?』

『……うん。会えるよ。またおいで』

それが出会い。今に至る、始まりの日。
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