雪の降る日
好きです、と言いかけて、言えなくて言い直したことなんて、彼は気づいてもいないに違いない。

きゅっと胸を締めつけられながら、春花は缶を傾ける。

ちなみに、甘いものが好きなのは、彼にはもうバレていたりする。

「……おいしい」

ぽつりと言った言葉を彼は聞き逃さなかったらしい。

「ほんと? よかったー」

「私、缶のおしるこって、飲んだことなかったので新鮮です」

「あー俺もない」

「甘いの、苦手だから?」

「まあそゆこと」

春花が小さく笑うと、彼も目を細める。

そのたび、どきどきする。
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