雪の降る日
春花はなんとなく気圧されて、彼の顔を見た。

彼は言葉を探しあぐねているようだった。

「……えーと、そのマフラー、可愛いね」

「……っ!?」

声も出ない。

一瞬で顔が赤に染まる。

「そっ……そ、う、です……か……?」

落ち着いて私。可愛いのはマフラー。確かにこのマフラーは可愛い。

缶を持つ手に力が込もる。

必死で自分を落ち着かせようとしていたのに、彼から追い打ちがかかった。

「うん。可愛い。よく似合う」

「あっ……りがとうございます……」

語尾が震えた。彼といると、ありがとうございます、を連発してしまう自分がいる。

まともに顔を見れない。春花は一歩退いた。
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