君という名の広い空
〜STORY 3〜
その日から、あたしは優也と付き合っている。
しかも、タイミング良く席替えがあって、春哉と離れた。というか、やっと離れられた。
優也とも離れたけれど、春哉の隣よりもまだマシだと思う。
この学校の1年は多分あたし達の事を全員知っていると思うし、春哉も…知ってるんじゃないかな。あたしはもう、それでもいいって思っているし、今さらどうだっていい。
席が変わってから、前みたいな他愛無い会話も無くなり、目を合わして、微笑む事も無くなった。
あたしの方からも避けているし、春哉も避けてるようだし。
「優…優にとって、本当にこれが一番良かったの?」『うん! スッキリ〜』
奈美や、皐月がそう言ってくれても“スッキリした”。
そう言っているけれど、あたしの本音は心に大きな穴がポッカリと開いてしまったようだ。
でも、それを誰かに言うとあたしがまだ春哉の事を好きって事になっちゃうから、奈美にも皐月にも言わない。
大体、自分でだってそうは思ってないし!
でも、気になる事が1つある。それは、春哉と優也が話さなくなった事。
何か、ケンカとかしちゃったのかな?
でも、ケンカしているところなんて見たことないから、ちょっとびっくりしている。
いくら、あたしが春哉の事を好きじゃなくなったとしても、近くにある友情が壊れるのは嫌だった。
あたしは、休み時間に優也に聞いてみた。
『ねぇ、春哉とケンカしたの?』
すると、優也は嫌そうな顔をしたからケンカしたんだ、と思った。
『図星?』
「ケンカじゃない、俺が春哉に悪い事したから…。」
『じゃあ、謝ったらいいじゃん!』
「もう、遅いから…ってか、この話終わり。」
何でかな?