君という名の広い空
「一本打ちお願いしまーす!」
『お願いしまーす!』
あたしは、ソフトテニス部に所属している。
あたしの他にも夏奈子もソフトテニス部。
この辺では、まぁまぁ強い学校かな…?
先輩は大会ごとに表彰台にたって、賞状やら、カップを貰ってくる。
小さい頃に見た硬式テニスプロ戦────…
綺麗なフォームのサービス。
余計な動きがないレシーブ。
それに堂々とした誠意。
幼く、まだ知らない事が多かったあたしにとってたまらなく格好良く見えた。
憧れになったんだ。
この学校には、軟式のテニス部しかなかったから、入ってみたけれど、今のあたしはこの部活の時間が毎日の楽しみになった。
最初は何も分からなくて、周りが先に進んでいくのを不安に思っていた。
けれど今はこの時間が楽しみで楽しみで仕方ない。
自分が少しずつあの選手に近づいているような気がすると、嬉しくて仕方なかった───…
ボールを打とうとすると、また声が聞こえてきた。