君という名の広い空


パタパタパタ───…

『はぁ、はぁ…。』

ここは、あたしが一番落ち着く場所───…

屋上。
本当は行けないようになってるんだけど、この前、屋上に行ける扉を見つけた。
誰にも会わない。誰にも邪魔されなくて、何もかもを忘れられる場所。


『はぁ…もうやめよう。』

春哉を好きになるのも、
恋をするのも。




もう信じられない。

春哉はそんな奴じゃないって思ってたのに…。
あんな軽い奴と付き合うなんて…。


この前、チョコ食べてくれるって言ったじゃん。

笑って、言ってくれたでしょ?

あの時、すごく喜んだんだよ?

顔や、声には出さなかったけど…。


ちょっとは、あたしの事見てくれているのかな、って──…


でも、違ってた。
勘違いだったんだ。

バカだよね…。

勝手に勘違いして…。


ほんと、

バカ。


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