君という名の広い空



あたしは今日、徒歩で学校に来ていたから、自転車が無かった。
だから、優也の自転車の後ろに乗せてもらった。


ガチャン。
「お前、重っ…。」
失礼なっ

あたしは、優也を殴った。
「いたた。 冗談通じねぇなぁ。」
『バーカ。』

外はもう真っ暗で、マフラーがないと辛いほどの冷たい北風が吹いていた。
自転車だと余計に風が来て…寒い。

そっと、気付かれないくらいそっと優也の顔を覗き込んでみた。すると、暗くてあまり見えないけど、確かに鼻がほのかに赤く染まっていた。
「…んだよ。」

…見てた事、バレちゃった。
『なんにもー?』
「なんか顔についてる?」
『ついてないよー』
あたしがその言葉を発した瞬間、凍り付くような冷たくて、強い風が吹いた。

すると、優也が身震いをした。…優也、マフラー首に巻いてないじゃん。手袋だけ…。


そう思った時には、すでに体が動いていた。
あたしは、自分のマフラーを優也の首にも巻いていたんだ。
そんな事をしたら、マフラー伸びちゃうし、もっと近付かないといけなくなるのに。

そう思ったのも、


遅かった。
体の方が、早かった…。

ギュッ────…



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