君という名の広い空
あたしは、奈美を誘って野球の試合を見に行く事にした。
そういえば、何か差し入れみたいなモノ持っていった方がいいかな…。
お弁当?
あっ、マンガとかでよくマネージャーが差し入れにレモンの蜂蜜漬け?を持っていくんだっけ。
…作ってみよっかな。
でも、不味かったらどうしよう…。
弁当、お母さん達が持ってきてくれるよね。
あたしは「んー…」と、眉をしかめながら考えていた。
でも、楽しみだな。まさか春哉に試合に招待?されるなんて思っても見なかったよ。
よっぽど嬉しかったんだなぁ。春哉、すごく喜んでいたしね。
もしかしたら、
「お前のためにホームラン打つ」
なーんて言われたらどうしよう!?
ヤバいヤバいー!!
誕生日に貰ったハートのクッションを力一杯抱き締めて叫んでいると、妹の“凛”に怒鳴られた。
「あ゛ー! もう、お姉うっさい!」
ふん。
まだ小3のくせに生意気ね…。あんたにあたしの気持ちなんてまだまだ分からないでしょうね!
『あんたには、まだ恋愛とか分かんないでしょ。』
あたしが、細目で凛を見下したように睨むと、凛は「はんっ」って感じで睨み返してきた。
「バーカ。 お姉よりは分かってるつもりよ? あたし、彼氏いるし。」
『はぁ!?』