クローバー~約束~
映画デートに誘っちゃった!
その日の夕食後、美穂は和希にメールした。

【今日はありがとう】

【カズキくん、今日はありがとう。お花のプレゼントから始まって美味しいランチ、そして働きやすそうな職場を紹介してくれて。店長さん、本当に素敵な人だった。】

すぐに着信音。

【どういたしまして】

【どういたしまして。君の役に立てて嬉しいよ。実はあの後、CLOVERに戻って詳しく話してた。シフト表、パソコンから送るね。kazuki○○-iijima@yahoo.co.jpから送るよ。シフト変更希望があったら、火曜日に言ってくださいって。そういや、店長にさんざんひやかされたよ。友達だって言うから、トーゼン男の子かとおもったら、かわいらしい女の子だったって。彼女でしょ?って。『まだ、そう言うんじゃないです』って言ったら、『まだ、ね~(笑)』って。あ、こういうのは、焦らずにゆっくり行こう。店長が、正式な契約は火曜日に、って。】

【照れちゃうね】

【そんなやり取りしてたんだ、照れちゃうね。火曜から、しっかり頑張るよ。バッチリ、決める!】

美穂はふと、窓辺に飾った和希からの花束を見つめた。そういや、拓也からは一度も花束とかもらったことなかったな。・・・っていけない、いけない、もう忘れるんだから。そんなことを考えているうちに、和希からの着信音。

【気合い、入れ過ぎないで】

【もっと、リラックスして。堅苦しい職場じゃないから。シフト表、見てもらうと分かると思うけど、日曜は1日休みなんだよね、毎週。これって、デートしろってことだよな、ってちょっと思った】

どきんっ!来週の日曜日、また、デート。会いたい、カズキくんに。そう思った。いいよね、自分の気持ちに素直になって。

【だったら】

【のっちゃおうよ、その考えに。今度の日曜日は映画に行かない?洋画でステキなラブストーリー見つけたんだけど。タイトルは、確か、「いつもふたりで」。ニューヨークを舞台にしたラブストーリーだけど、カズキくんはそういうの苦手?】

ドキドキしながらカズキくんの返事を待つ。


【あまり観ないジャンルだけど】

【いいね。今回はいずりんちゃんの案に乗るよ。どこで観る?このあいだは新宿だったから、気分を変えて、横浜みなとみらいにでもする?】

ワールドポーターズ内にある、イオンシネマの上映案内をネットでチェックする。「いつもふたりで」、うん、
やってる。

【ワールドポーターズのイオンシネマで】

【上映されてるから、いいよ。あたし、映画観て、お散歩したい。写真もいっぱい撮りたいな】

和希は、デートコースをパパっと検索した。港の見える丘公園あたりがいいかな、と思った。元町・中華街駅が最寄り駅だし、ちょっと歩くから、先にランチにするのがいいのかな、とプランする。中華街には、少し詳しい自信があった。

【映画のあとは中華街で飲茶は?】

【映画のスケジュールにもよるけど、映画のあと、中華街まで散歩してランチしないか?来福門っていう、飲茶バイキングのおいしいお店があるんだ。それとも、エビチリとか麻婆豆腐がいい?そのあと、港の見える丘公園に行こうか。写真、撮るの楽しみだな。】

【飲茶がいい】

【飲茶に一票。来福門って、テレビで見たことある。オーダー受けてから作ってくれるバイキングで、時間無制限なんでしょう?港の見える丘公園、素敵!】

和希は、美穂が提案に乗ってくれてホッとしていた。そして。ある決意をしていた。
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