クローバー~約束~
恵美の謝罪
RRRR・・・電話がかかってきた。恵美からだ。
「もしもし、恵美?久しぶり、元気?」
「元気だよ!美穂も元気そうな声でよかった。ねぇ、近々、飲みに行かない?あたし、美穂に謝りたことがあって」
「何?謝りたいことって」
「そのとき話すわ。電話じゃ、ちょっと」
「私も、恵美に聞いてもらいたいことがあるの」
「うん。明日の夜7時って、大丈夫?『月あかり』で会わない?」
東中野駅前の居酒屋「月あかり」は、恵美とよく行く店だ。
「いいよ。楽しみにしてる」
翌日は、早番だったので5時に上がった美穂は、本屋で時間を潰していた。恵美の謝りたいことってなんだろう。
7時になり、「月あかり」に行くと、恵美がすでに来ていた。
「美穂、こっち、こっち~」
恵美が笑顔で声をかける。
「久しぶりだね、恵美」
「そうだね。あたしがべろんべろんになって以来。あのときはごめんね」
「気にしないで。謝りたいことって、それ?」
恵美がちょっと困った顔をして首を横に振った。
「じゃあ?」
「拓也くんから、結婚式の招待状、届かなかった?」
「えっ、なんでそれを?」
「ごめんっっ。このあいだ、拓也くんに偶然会って。あまりにも楽しそうに新しい婚約者との結婚式の話をするもんだから、つい、『美穂だって、素敵な人と付き合ってて、結婚を考えてるのよ』って言い放っちゃったの。ごめんっ。悪気はなかったんだけど、『じゃあ、美穂を結婚式に招んでみようかな』って言いだしちゃって」
だから、届いたのか、あの招待状。別れてそんなに経っていないのに、恋人がいると確信してたあのメッセージも。
「いいよ。それね、当たらずとも遠からず、だから。正確には一昨日から、カズキくんとつきあってるんだ。このネックレスをくれてね、『来年も再来年も、10年後も20年後も一緒にいよう』って言ってくれたの。プロポーズってわけじゃないけど」
「えええええええ!」
「そんなにビックリする?」
「あの美穂の落ちこみようから言ったら、想像もつかなかったよ。てっきり、まだ、拓也くんのことを忘れられないでいると思ってた。そっかぁ、そっかぁ、新しい恋かぁ」
恵美がにやにやしながら言う。
「とりあえず、乾杯だね。あたしは、カシスソーダ。美穂は?」
「あたしもそれでいい。すみませ~ん!!」
カシスソーダと、つくね、揚げ出し豆腐、若鶏のから揚げ、刺身5点盛りを注文する。
「美穂の輝ける未来に。かんぱ~い!」
「ありがとう。乾杯」
結局、門限近くまで飲んで、吉祥寺に住む恵美は中央線で帰って行った。
「どうしよう、あの招待状」
恋人と一緒に来ることを期待されているようだったが、さすがにそれは・・・。拓也のご両親とも会ったことのある美穂には、行きづらかった。行くとなれば、聞きたくもない元婚約者の話を和希にもしなくてはならなくなる。
「やっぱり・・・欠席よね」
美穂は、和希とともに生きていくのだ。美穂の人生に拓也が関わることは今後なくていい。家につくと、出席、二重線で消して、欠席させていただきます。とした。余白に、「私も幸せです。幸せでいてください」と書いた。
「もしもし、恵美?久しぶり、元気?」
「元気だよ!美穂も元気そうな声でよかった。ねぇ、近々、飲みに行かない?あたし、美穂に謝りたことがあって」
「何?謝りたいことって」
「そのとき話すわ。電話じゃ、ちょっと」
「私も、恵美に聞いてもらいたいことがあるの」
「うん。明日の夜7時って、大丈夫?『月あかり』で会わない?」
東中野駅前の居酒屋「月あかり」は、恵美とよく行く店だ。
「いいよ。楽しみにしてる」
翌日は、早番だったので5時に上がった美穂は、本屋で時間を潰していた。恵美の謝りたいことってなんだろう。
7時になり、「月あかり」に行くと、恵美がすでに来ていた。
「美穂、こっち、こっち~」
恵美が笑顔で声をかける。
「久しぶりだね、恵美」
「そうだね。あたしがべろんべろんになって以来。あのときはごめんね」
「気にしないで。謝りたいことって、それ?」
恵美がちょっと困った顔をして首を横に振った。
「じゃあ?」
「拓也くんから、結婚式の招待状、届かなかった?」
「えっ、なんでそれを?」
「ごめんっっ。このあいだ、拓也くんに偶然会って。あまりにも楽しそうに新しい婚約者との結婚式の話をするもんだから、つい、『美穂だって、素敵な人と付き合ってて、結婚を考えてるのよ』って言い放っちゃったの。ごめんっ。悪気はなかったんだけど、『じゃあ、美穂を結婚式に招んでみようかな』って言いだしちゃって」
だから、届いたのか、あの招待状。別れてそんなに経っていないのに、恋人がいると確信してたあのメッセージも。
「いいよ。それね、当たらずとも遠からず、だから。正確には一昨日から、カズキくんとつきあってるんだ。このネックレスをくれてね、『来年も再来年も、10年後も20年後も一緒にいよう』って言ってくれたの。プロポーズってわけじゃないけど」
「えええええええ!」
「そんなにビックリする?」
「あの美穂の落ちこみようから言ったら、想像もつかなかったよ。てっきり、まだ、拓也くんのことを忘れられないでいると思ってた。そっかぁ、そっかぁ、新しい恋かぁ」
恵美がにやにやしながら言う。
「とりあえず、乾杯だね。あたしは、カシスソーダ。美穂は?」
「あたしもそれでいい。すみませ~ん!!」
カシスソーダと、つくね、揚げ出し豆腐、若鶏のから揚げ、刺身5点盛りを注文する。
「美穂の輝ける未来に。かんぱ~い!」
「ありがとう。乾杯」
結局、門限近くまで飲んで、吉祥寺に住む恵美は中央線で帰って行った。
「どうしよう、あの招待状」
恋人と一緒に来ることを期待されているようだったが、さすがにそれは・・・。拓也のご両親とも会ったことのある美穂には、行きづらかった。行くとなれば、聞きたくもない元婚約者の話を和希にもしなくてはならなくなる。
「やっぱり・・・欠席よね」
美穂は、和希とともに生きていくのだ。美穂の人生に拓也が関わることは今後なくていい。家につくと、出席、二重線で消して、欠席させていただきます。とした。余白に、「私も幸せです。幸せでいてください」と書いた。